SAND LAND
ドラゴンボール、Dr.スランプアラレちゃんで知られる鳥山明の短期集中連載された漫画が原作で2022年に映画化が発表されたことで大きな話題になった。
監督は横嶋 俊久で
「ドラゴンクエスト9 星空の守り人」のアニメーションパートや白猫プロジェクトのアニメムービーに携わった方。
実質 長編劇場アニメーションは初監督といってもいいほど
すべての人が水不足で苦しんでいる砂漠の世界・サンドランド。とある村の保安官のラオはみんなを助けるために幻の泉を探す旅に出ることを決意する。それを決意させたのは水辺の住む鳥と言われるウォーター・フィンチを見かけたから…と、村の少年が見たことがない相手から水を分けてもらったことを聞いたからだった。
その相手は魔物と確信をもったラオは魔物の村へいき、幻の泉探しの手伝いをお願いする。
それに呼応したのは魔物の王・サタンの息子、ベルゼブブ。ベルゼブブはお目付け役のシーフとともにラオと行動をともにする。3人は砂漠のチンピラや国王軍らに狙われることになるのだが…
今回のアニメーション作品としては、なめらかなキャラクターの動きが秀逸。
これはモーションアクターの動きをアニメーションに書き起こす作業をするという手間をかけることで、より人間っぽいきめ細やかな動きを再現しているからといえる。
それを通常アニメ制作では素晴らしいアニメスタッフがいるサンライズとCG動画で定評がある神風動画(かみかぜどうが)、アニマ社の3社で作り上げている。
その手描きアニメーションとCGアニメーションの組み合わせは違いがわからないほどの滑らかさで、観ているところ全く気にならないほど。
そこに声優のマッチングが神がかり的に合わさっており、
ベルゼブブの田村 睦心
ラオの山路 和弘
シーフのちょー
ゼウ大将軍の飛田 展男
アレ将軍の鶴岡 聡
サタンの大塚 明夫
などなどすべてのキャラクターでイメージを超えるハマり声を聞かせてくれる
特に実質主人公のラオの山路 和弘がいいのだ
正義感あふれる保安官
過去に抱えた苦悩
自分の過去と向き合う姿
ラストに向けての決意
全てにおいて熟練した技とも言える見事な声の演技
さすが、ジェイソン・ステイサムやヒュー・ジャックマン。そしてウィレム・デフォーの実質専任声優をしているだけあって、かっこよさと渋さはさすがの一言。
さらにシナリオ展開が起承転結が抜群にまとまっており、
冒頭でのベルゼブブのキャラクターのつかみ
ラオが幻の泉探しのたびに出るまでの流れ
キャラの特性を見せる最初のアクション
から
クライマックスのハラハラ感
ラストの気持ちのいい終わり方
までの、完璧とも言えるシナリオ展開に
「観て楽しいアニメーション」
として満点といえる流れになっている。
それでいながら、大人がつい持ちがちな
固定観念を拭うことの大切さや一方の情報だけを鵜呑みにすることの危険性を教えられるところは、とても意味がある
加えて鳥山明らしい戦車デザインなども秀逸で、戦闘に使う車両であるにも関わらず、どこか可愛らしい丸みを帯びたデザインになっているのもポイントだろう。
戦車デザインのモチーフがペンギン…というのも面白いところで、ラスト直前のカットではその雰囲気がモロ分かるようにスクリーン上で描かれている。
戦車的には、旧ソ連のT-34戦車を思い起こさせる気がしたが、戦車マニアの人にはどう映ったでしょうか?
その戦車の戦闘シーンも見事ともいえる演出で、観ていて迫力満点
対空戦ができない戦車の活用の仕方、対戦車線におけるレーダーの強みとその裏をかく戦略。これにサーマルカメラによる同士討ちが入っていれば+1万点というところだが、それは流石にない
とはいえ、見ごたえは満点なのだ
いずれにしても大人も子どもも楽しめる秀逸作。
残り少ない夏休みを映画館で楽しむには最適な映画といえる。
また4DXにもぴったりなので、アトラクションムービーとしても楽しめるのは間違いない
ぜひ大きなスクリーンで楽しんでもらいたい
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